[44]オークランド
1月9日(金) 雨時々曇り
朝 起きると雨が降っている。
朝食を食べるも、雨が降っているため出るのを渋っていると、午前9時50分になってしまった。
まだ降っているが土産の事もあり、先ずは傘を買いにカランガハペ通りに行く。
商店街を見ている内に11時半になってしまい、通りにある店で安い折り畳み傘を買い、これを差してダウンタウンに向かう。
今日は一日中、買い物をしていた。
土産は何時でも買えると思っていたが、この考えは現実においては非常に甘かった上、やはり「買う以上は良い物を」で難しいものである。
英会話力・英語力ともにゼロの俺でも、ほんの僅かだが聞き取れるようにはなったと思う。
店での会話は次のとおりで滅茶苦茶だが、それでも通じるから面白い。
宝石店などでの実際の会話。
〈店に入ると〉
店員:「May I help you」
俺 :「Just looking」と答える
〈買う物が決まったら〉
俺 :「Excuse me」と店員に声を掛ける
店員:「・・・(何を言っているのか理解できなかった)」が「どれにされますか」だ
ろうと思う
俺 :「Please show me a this one and this one」と指差す。
見せてもらった物が思いと違う場合は「Another one please」
〈確実に買うと決まったら〉
俺 :「This one please」や「This one and this one please」
で通じるのだから面白い。
ちなみに「This one」については、日本語で「これ」と言っても問題なく通じていた。
ある本に「日本の英語はまるっきりダメ」と書いてあったが、これはちょっと言い過ぎだと思う。
しかし、現実においては「単語」さえ知っていれば通じるし、文法どおりでなくても理解してくれ、「単語」も出来るだけ簡単なものでOKである。
また、極端な言い方だが、スーパーマーケットなどで買物をする際には、「How much」以外の会話は話せなくても問題ないと言っても過言でない。
なぜならば、欲しい物を出してカウンターに持って行けば良いからである。
ニュージーランド航空の1階にある免税店に行く。
店内では日本人の団体客が買い物をしており、カウンター内には日本人の女性店員が1人おられたため、安心して買い物が出来ると思ったが……。
日本人の団体客が店内から去ると、その日本人店員が店内で商品を見ていた俺の所に来て「JALの方ですか」と聞く。
俺は「いいえ個人です」と日本語で答えると、彼女は他の外人の店員を呼んで対応を依頼して店から出て行ってしまった。
彼女は何か非常に急いでいるように見え、俺が個人旅行と答えた事で「英語については問題ない」と勘違いし、安心されたのではないかと思われる。
俺は予想外の出来事に非常に困ったが、いつもの「単語を羅列する、いい加減な英会話」で無事に万年筆を2本買い、トラベラーズチェックでUS80$を支払う。
しかし、買った万年筆はこの場で受け取るのではなく出発当日に空港で受け取ると聞き、驚くと同時に心配になるも「受取れなかった場合は諦めればよい」と開き直る。
買物に追われて、クライストチャーチで知り合ったペリー・ロバクに電話するのを忘れ、午後9時55分に電話するも居ないらしく、結局 連絡をとれなかった。
歩いていて驚いたのは、歩いている時に相手が俺の肩や体に触れると、男女を問わず殆どの人に「Sorry」または「Excuse me」と言われた事である。
こんな事は日本では考えられないだけに、非常に新鮮で驚くばかりだった。
また、アルバイトだろうか子供たちの新聞を売る声が、夕方のダウンタウンに響いていた。
今日は日本人が到着したらしく沢山の人を見たが、彼らは「日焼けで真っ黒な俺」を見ても、日本人に似ているアジア人と思っているに違いない。
しかし、日本人は個人で歩いている人は皆無で大体4~5人程度で歩いており、個人的では1組の夫婦が歩いているのを目にしただけである。
また、カメラを首にぶら下げているのは日本人だけではなく、国を問わず旅行者全員に言えると思うし、持っているカメラは日本のペンタックスが圧倒的であった。
ペンタックスについては、フランツ・ジョセフの聖ジェームズ・アングリカン教会で会った旅行者が、俺が持っていたカメラを見て自分のカメラを見せ「It is same. Very nice camera.」と言っていたのを思い出す。
ダウンタウンでは、週末とあってか、暗くなっても遊園地やウィンドウショッピングを楽しむ家族連れを含む人たちでにぎわっている。
賑わう街を後に、途中の店でハンバーガーを4個買い、1個を食べながらクイーン・ストリートを歩いて午後10時ジャストにホテルに帰る。
明日はこの国とも別れなければならず、最後の荷物の整理をする。
本日で終わりなんて信じられないくらい早い42日間であったが、俺には随分プラスになったと思う。
そして又、本当のニュージーランドを知ったと思う。
素晴らしい自然、素晴らしい人達である。
俺は来て良かったと思うし、また何時か何時か来たい国、それがニュージーランドである。
マンゴヌイ、ノースコーテ、ハミルトン、タウポ、オタキ、マイマイの家庭でお世話になったが、嘘みたいに親切にされ、まさに信じられない経験をした。
では、おやすみ。
※「宝石店など……」について、彼はグリーンストーンとパウア貝のアクセサリーの購
入については、土産店ではなく宝石店での購入にこだわっていた。
※「How much以外の会話……」について、彼は「少なくとも値段だけは聞いた方が良い
と思うので書いたが、聞かなくても相手は理解してくれると思う」と話していた。
しかし、彼は「無言と言うのは相手に対して失礼ではないかと俺は思う」と話してい
る。
※「カメラを首にぶら下げている……」について、当時の日本人は「エコノミックアニ
マル」と海外から揶揄され、日本人を象徴する姿は「スーツを着てネクタイを締め、
カメラを首にぶら下げている」が先進国から見たイメージだった。