[22]オタキ
12月18日(木) 雨(風強し)
本日、予定では南島にいるはずであるが、現在オタキにいる。
予想した好天は、何と荒天であり、とても出て行く気になれなかったのと、ルイスの勧めもあり もう一泊させて頂いてしまった。
午前中 ルイスが「アングリカン教会」と「マオリホール」を案内して下さる。
また、ルイスは俺を「アングリカン教会」の神父さんにも紹介してくれる。
両方とも全く知らなかったが、マオリ族の由緒ある建物で、素晴らしい建造物である。
余りにも素晴らしいだけに、観光で荒らされない事を祈る。
内部については、「アングリカン教会」の内部は非常に質素で最奥に祭壇があり、三方から入る外光により意外と明るい。
また、中央にある屋根を支える3本の柱に装飾は無いが、天井の梁や電灯の枠にはすべて伝統模様が描かれており、壁にも独特な伝統模様が配されている。
「マオリホール」も内部は非常に質素だが、中央の2本の柱には伝統的な彫刻が施されているほか、壁面に立つ全ての柱にも伝統的な彫刻が施されている。
また、天井には伝統的模様が描かれ、壁面も全て幾何学的な伝統の模様が施されている。
雨の中を出かけると聞き、まさかこのような歴史的価値のある建物を案内していただけるとは思わず、カメラを持って行かなかった事が残念である。
また、ワンガヌイで見た人達と同様、ルイスも傘は持たずレインコートとスカーフ姿であったほか、洗濯物も殆どの家が取り込んでなかったのに驚く。
帰りにマーケットに寄って帰る。
ライス(米)が並ぶ棚の前で、ルイスに「粒が長いのと短いのとどっち」と聞かれ「短い方」と答えたが、今日まで「粒の長い米」がある事を知らなかった。
買ったライスは昼食にお粥みたいな形で出してくれ、久々に米を食べる。
娘さんのロベルタの家の夕食に招かれる。
夕方、ロベルタが友達のウェッジ、リンダ、ジュリーと迎えに来てくれ、3人とも良い人であった。
車に乗り込むと、全員がシートベルトを当たり前のようにしていた事に驚く。
ロベルタの夫君の父親は菜食主義者だそうで、メニューもコーンパイ、グリンピース、ポテト、ニンジン、レタス、トマト、その他パイ2種類。
デザートは摺ったレッドプラム、梨を砂糖に漬けた感じの物、イチゴに生クリームとヨーグルトを好みに応じてかけて食べるのだが、いずれもボリュームたっぷりの上に非常に美味い!
食後、農園を見せてもらい、ウェッジの家に行ってしばらく過ごした後、町の集会場に向かう。
これはスピーチミリタリーを聞きに行ったのだが、俺は「連れて行かれた」の方が適当かも?
このスピーチミリタリーとは、1人の人が前に出て話すのを皆が黙って聞くことらしく、集まった年齢層は幼児からお年寄りまでと幅広く、人数も多かった。
午後8時20分に始まり4人が話したが、英会話力ゼロの俺。少し単語が分かった位で、どういう事を言っているのかは わかるはずも無く、実に退屈だった。
10時にこの退屈から解放されると、すぐにティーパーティに移る。
参加者めいめいが作って持ち寄った軽い食べ物をテーブルの上に広げ、手にはティーカップを持ってティーを飲みながら、世間話に花を咲かせる。
もちろん、俺も2冊の辞書を駆使して出来るだけ話す。
ここでは、俺を「外人」としてではなく「友人」として扱ってくれるので気持ちも非常に楽で、みんなに勧められるままに飲んだり食べたりして嬉しい悲鳴を上げ、有意義な時間を過ごした。
本日、ルイスがグリーンストーン製のメレ(Mere)を見せてくれ、カーキークさんはオタキのマオリのチーフの家系と言う事を知った。
オタキにてGood night。
※「アングリカン教会」は、「ランギアテア教会(Rangiatea church)」の事。
教会は1995年に放火により全焼したが、2003年に内部も含め元の姿で再建されまし
た。
※「マオリホール」は、「マオリ・ミーティングハウス(Maori meeting house)=ラウカ
ワ・マラエ(Raukawa Marae)」の事。
このマラエは観光用ではなく、実際に行事などで使用されているもので、彼が1990年
に再訪した時には「グライアムから『葬儀の用意が行われており、外から見るだけで
中には入れない』と言われた」と私に話してくれた。
ちなみに、グライアムはカーキークさんの長女の夫です
※「アングリカン教会」、「マオリホール」共に内部は宗教上や伝統上から了承を得て
写した写真は公開できず、「表現力が無いため、おおまかな言葉でしか紹介できな
い」と彼は話している。
※「スピーチミリタリー」について、この言葉は彼が耳にしたものを そのまま表現し
たもので、正しいか否かは未だに分からないらしい。
また、結果的に楽しんで帰宅した彼は、「ティーカップを持ち歩く時は、カップを皿
に載せて持ち歩くと言う事を知った」と私に教えてくれた。
※カーキークさんの長女夫婦と その長男一家が、2007年に彼の家を訪れている。