ニュージーランド縦断サイクリング1975.12-'76.1

「行った、銀輪走(走った)、見た、知った」……そして残った/サイクリングで駆け巡った彼との45年間

[23]オタキ ⇒ ウェリントン ⇒ ピクトン ⇒ リンクウォーター

 

12月19日(金) 晴れ(風強し)

午前10時15分。

ルイスに見送られて出発。

 

出発して間もなく、昨日ルイスから紹介されたアングリカン教会の神父さんが、車の中から手を出して声を掛けてくれる。

もちろん、俺も「Thank you. Good buy」と答える。

オタキ(※1995.08.06撮影)

無理だろうとは思うが、午後2時20分発のフェリーに乗る予定で首都のウェリントン(Wellington)に向かう。

 

さすがにラグビーの盛んな国だけあって、プリマートン(Pllimmerton)の小学校では児童が真剣な顔をしてゲームをやっている。

 

国道1号線は、ポリルア(Porirua)で自然とモーターウェイになっていたため、今度は引き返して一時的に離れ、再び1号線に戻るとウェリントンだ。

 「ウィンディ・ウェリントン」とも言われるだけあって風が強く、真青な空の中、白い雲が物凄いスピードで飛んで行く。

珍しく追い風に助けられた事もあって、約80kmを丁度4時間という予想外のハイスピードで走ることができ、出港予定時間5分前の午後2時15分にフェリーターミナルに到着。

 

俺と自転車で3$75¢払ってフェリーに乗り込むが、この時間で切符を買えたこと自体が信じられない。

フェリーに自転車と一緒に乗ると、船内にも線路が敷いてあり、しっかりと貨車が積載されているのに驚く。

 

デッキに上がって30分後の午後2時50分にフェリーは港を離れ、俺は北島を後にして南島に向かう。

 

ウェリントンは首都だけあって大きい建物も幾つかあるが、日本とは比較にならない。

しかし、ここがニュージーランドの良い所だ思う。

ピクトン行きフェリーから見るウェリントン(1975.12.19)

ニコルソン湾(Port Nicholson)からクック海峡(Cook Strait)に出ると、風は一層強くなった。

しかし、船が大きいせいか そんなにも揺れず、予想外に快適な中をカモメの群れを従えて走って行く。

クック海峡を行くフェリーから見る北島(1975.12.19)

クック海峡からマールバラ入江に入る。クック海峡を挟んで見えるのは北島(1975.12.19)

マールバラ入江(Marlborough Sounds)に入ると風は急に無くなり、波静かな美しい入江が続く中をフェリーはすべるように先へ先へと進んで行く。

そして、船旅ならではの大らかで美しい風景が続く……。

マールバラ入江にて(1975.12.19)

マールバラ入江にて(1975.12.19)

ブライトウォーター(Brightwater)に帰ると言う人と話しているうちに、南島の入口となるピクトン(Picton)の町が見えて来る。

そして、ピクトン(Picton)の町は だんだんと大きくなってくる。

ウェリントン行フェリーから見るピクトン(※1997.08.04撮影)

下船直前のフェリーに積載された愛車。左手奥には貨車が見える(1975.12.19)

午後6時20分、南島のピクトンに上陸。

バス停には多くのパイプザックをかついだ旅行者がバスを待っている。

こういう所は、日本と同じだ。

 

ハブロック(Haverock)に向かうためハンドルを右に切り、踏切を越えたのは良いが、すぐに上りにかかり、いったん下って再び上り、実にきつい。

が、最初のルックアウトから眺めるピクトンの町は、弱い光を浴びて素晴らしく美しい。

ピクトン港に停泊するフェリー(1975.12.19)

ピクトン(1975.12.19)

久々にニュージーランドらしい緩い上り下りの激しい道路が続くが、それと並行して見えるシェークスピア湾(Shakespeare Bay)、オナハウ湾(Onahau Bay)、ロックマーラ湾(Lochmara Bay)やダブル入江(Double Cove)など、次々と現れる湾や入江の美しさも また格別だ。

 

 今日は、リンクウォーター(Linkwater)のメモリアルホールの横にてキャンプ。

※「国道1号線は、ポリルアで自然とモーターウェイになっていたため、今度は引き返

 して……」については、オークランドのハーバーブリッジでの経験から、この時の彼

 は冷静に対応していた。

※「クック海峡における船の揺れ」について、デッキにいた彼も、船倉にいた私も それ

 ほど揺れを感じず、彼はずっとデッキで風景を見ていた。

 しかし、1997年8月にピクトンからウェリントンに向かった時の事を、帰ってきた際

 に彼は「船が大きくなっているにも関わらず、波しぶきがデッキの上にある窓に吹き

 付けるとんでもない揺れだった」と輪行袋に入った私に話し、加えて「夏と冬の差か

 な」とも話していた。

シェークスピア湾(1975.12.19)

オナハウ湾(左)およびロックロックマーラ湾とダブル入江(右)を対岸に見る(1975.12.19)