ニュージーランド縦断サイクリング1975.12-'76.1

「行った、銀輪走(走った)、見た、知った」……そして残った/サイクリングで駆け巡った彼との45年間

 

8.写真に残る峠、最高所、最高地点 など

[31]ニュージーランド

文章については、はてなブログの別ブログ『「行った、銀輪走(走った)、見た、知った」……そして残った』で2023年7月1日に公開したものと同一内容です。

なお、この文章については、当ブログ「ニュージーランド縦断サイクリング1975.12-’76.1」から抜粋したものとなっています。

North Island(北 島)

《 Waithi Saddle(ワイトゥヒ峠) 》

12月12日(金) 曇りのち晴れ

トゥーランギ(Turangi)を抜け、トカアヌ(Tokaanu)を過ぎて上りとなり、嫌な感じが頭をかすめるも、ワイヒビレッジ(Waihi Village)にあるLook Outから眺めたタウポ湖は「素晴らしい」の一言!!

嫌な感じが頭をかすめて上り始めたが、着いてみると予想外に楽で、頂点には「WAITUHI SADDLE 869m」とあり、正面には雲で頭を隠してはいたがルアペフ山が雄大な裾野を広げている。

晴れていたら どんなに素晴らしいだろうか?

ワイトゥヒ峠(Waituhi Saddle)を後に、殆ど車の通らない素晴らしい道路を一気に下り、マヌヌイ(Manunui)から国道4号線に入りタウマルヌイ(Taumarunui)に着く。

1975.12.12 Waithi Saddle(ワイトゥヒ峠)][869m]。見える裾野はMt.Ruapehu(ルアペフ山)

《 Waitaanga Saddle(ワイタンガ峠) 》

12月13日(土) 曇りのち雨

オフラ(Ohura)から約4㎞の所で国道40号線の舗装は無くなり、道路は そのきつさを示すかの様に、上の方にギザギザに見える。

と、同時に空からポツポツと来た雨。

濡れちゃ困るので合羽を着たやいなや、ザーッと降って来た。

雨の中、道は悪いし、坂はきついし、風は強いし 加えて水も無く、とんでもない状況で自転車を引っ張って歩くわけだが、行けども行けども村らしいものは全く見当たらず、山にはシダの森が鬱蒼としている。

それでも、とうとう頂上に来た。

そして、そこには「WAITAANGA SADDLE 533m」とあった。

きつい はずだ!

1975.12.14 Waitaanga Saddle(ワイタンガ峠)[533m]

South Island (南 島)

《 Rai Saddle (レイ峠) 》と《 Whangamoa Saddle (ファンがモア峠) 》

12月20日(土) 晴れ(風強し)

ハブロック(Havelock)から国道6号線に入り、ネルソン(Nelson)に向かって走る。

昨日と打って変わって強い向かい風と上り坂が多く、加えて247mのレイ峠(Rai Saddle)と357mのファンガモア峠(Whangamore Saddle)の、高さこそ低いがまあまあの峠に悩まされた、とんでもない一日だった。

《 Rai Saddle (レイ峠)

1975.12.20 Rai Saddle(レイ峠)[247m]

《 Wangamoa Saddle(ファンガモア峠) 》

1975.12.20 Wangamoa Saddle(ファンガモア峠)[357m]

《 Spooners Saddle(スプーナーズ峠) 》と《 Hope Saddle(ホープ峠) 》

12月21日(日) 晴れ(風強し)

起きると物凄い風。

出るのを渋っていると、10時半になってしまった。

しかし、相も変わらず風はおさまらず10時45分でも吹いている。

《 Spooners Saddle(スプーナーズ峠) 》

余り気乗りはしなかったが、出て行くと今度はベルグローブ(Belgrove)を少し過ぎた所で、予想だにしなかった とんでもない坂があり、加えて向かい風。

自転車を押して歩くのだが、行けども行けどもつかない……。

頂上に着いた時には、「やっと着いた」と思ったくらいだ。

頂上には峠の名前を示す標識は無かったが見晴らし台があり、そこには見える範囲の地名が彫られた銅板(だと思うが)が設置されてあり、俺も眺望を楽しむ。

下方には、まだ坂にかかる前の道路、その向こうにはネルソン(Nelson)の街とタスマン湾(Tasman Bay)が薄く霞んで見え、これらを包むようにして森が広がっている。

※「頂上に着いた時には……」について、彼は後日に この頂上の名前を確認していたと

 ころ、「地図には『スプーナーズ峠(Spooners Saddle)』とあった」と輪行袋の中に居

 た私に教えてくれた。

 この事から、ブログの写真は「スプーナーズ峠」としてあるとの事。

1975.12.21 Spooners Saddle(スプーナーズ峠)にて[※440m]

《 Hope Saddle(ホープ峠) 》

ホープ峠(Hope Saddle)は標高634mと結構高く、相当にきつい坂を予想したためか それ程でもなく、上り坂よりも吹きつける風の方がきつかったくらいだ。

ホープ峠の正面にはネルソン湖国立公園(Nelson Lakes National Park)の山々が聳え立っている。

1975.12.21 Hope Saddle(ホープ峠)[634m]

《 Haast Pass(ハースト峠) 》

12月28日(日) 快晴

ハースト(Haast)に着き、ハースト川(Haast River)に沿って走る国道6号線を、今回の旅行で最後のヤマ場と思われるハースト峠(Haast Pass)に向かうべく、心もちハンドルを左へ切る。

「たかが563m」と、いつもの甘い考えでいたのが間違いで、サンダー・クリーク滝(Thunder Creek Falls)を右手に見てゲート・オブ・ハースト(Gates of Haast)まではそれ程でもなかったが、ゲート・オブ・ハーストを過ぎてからのきつさといったらない。

ゲート・オブ・ハーストからハースト峠までの殆どを、自転車を引っ張って歩いた様なものだ。

追い抜いて行った車が少し行った所で待っていて、「乗っていかないか」と言ってくれる時は物凄く嬉しいと同時に、「Thank you. But no.」と断るのが悪い気もする。

しかし、レインガ岬(Cape Reinga)を出て以来、今日まで全て自分の力で自転車を漕ぎ、押したり、引っ張ったりして来たし、これからも自分の力でスチュワート島(Stewart Island)まで行くつもりのため、この事を説明した上で感謝しつつも「Thank you. But no.」と言い続けてきた。

そして、相手は俺の気持ちを理解してくれ「気を付けて」、「良い旅行を」、「がんばれよ」などと声を掛け、握手して去って行くのだが、俺としては非常に気持ちが良い。

ハースト峠も近いのか勾配も緩やかになり、山には雪、左にはあれだけ大きかったハースト川が信じられないくらいに小さくなって流れ、その澄んだ水の美味さは格別だ。

そして、ハースト峠にやっと着いた。

ハーストから約63kmの距離にかかった時間は7時間45分。

このハースト峠を境にオタゴ(Otago)地方に入った。

※「澄んだ水の美味さは格別だ」について、彼はニュージーランドでは透きとおってい

 れば平気で川の水を飲んでいた。

 ちなみに、ハウェア湖畔の展望所には湖の水が引いてあり飲料用のカップが備え付け

 てあったほか、同所で会った団体旅行者の一人から「ワナカの水だ」と言って水筒の

 カップに注いで出していただいた水を飲んでいる。

1975.12.28 Haast Pass(ハースト峠)[563m]

1975.12.28 Haast Pass(ハースト峠)[563m]

《 THE NECK(ネック) 》

12月29日(月) 晴れ

ワナカ湖(Lake Wanaka)とマウント・アスパイアリング国立公園(Mount Aspiring National Park)、ハウェア湖(Lake Hawea)と素晴らしい風景が続く中を走るが、とんでもない道路のため舗装道路の有難さを身に染みて感じた一日でもあった。

走っている車は、殆ど全部と言って良いくらい後ろにキャンピングカーやモーターボートを引っ張り、土ボコリをモウモウと上げて走っている。

土ボコリをモウモウと上げて走る事については日本も同じだが、一つだけ極端な違いがある。

本当に信じられない事に、殆どの車は俺を中心に前後30~50m位を出来るだけスピードを落として、土ボコリが立たない様に走ってくれるのだ。

はっきり言って それ程の効果はないが、気分的には物凄く嬉しい。

日本では どちらかと言うと邪魔者扱いで、一度もスピードを緩めてもらった経験は無い。

ニュージーランドでは、自転車もれっきとした車と見てくれるみたいだ。

また、キャラバンカーに乗っている子供たちからも手を振られ、なんとなく気分が良い。

マウント・アスパイアリング国立公園の山々を水に映すワナカ湖畔を走り、ワナカ湖とハウェア湖の両湖を見る事が出来る標高405mのネック(THE NECK)を過ぎると、今度はハウェア湖だ。

1975.12.29 THE NECK[405m]にて

1975.12.29 THE NECKより見るLake Wanaka(ワナカ湖)

1975.12.29 THE NECKより見るLake Hawea(ハウェア湖 )

《 Crown Range Summit (クラウン レンジ山頂) 

12月30日(火) 晴れ

今日も昨日の続きで、早速 悪路に加え急勾配の上りが始まる。

自転車を引っ張って、右端を歩いたり左端を歩いたりしていると、グンとスピードを落とした車から、また後ろに引っ張られるキャンピングカーの中からも手を振られ、声が掛かる。

時々 振り返って見ると、国道89号線の上にはクッキリと自転車のタイヤの跡がついている。

引っ張り始めてから相当に時間も経ち、勾配も急に弱くなったのに伴いペダルを漕ぎ始めると、間もなく頂上に着いた。

着いてビックリ、標識には「SUMMIT CROWN RANGE 1120m」とある。

一昨日のハースト峠でヤマを越したと思ったのに、意外な落とし穴だ。

高さにして丁度2倍、きついはずだ。

しかし、日程が遅れていた事もあり、クロムウェル(Cromwell)に行く予定を距離が短いからとの理由で変更したのだから自業自得か。

それも、2人のオーストラリア人がワナカ(Wanaka)でアドバイスしてくれたにもかかわらず……。

1975.12.30 Crown Range Summit (クラウン レンジ山頂)[1120m]

1975.12.30 Crown Range Summit (クラウン レンジ山頂)[1120m]