[13]ロトルア ⇒ ファカレワレワ ⇒ アティアムリ ⇒ ワイラケイ ⇒ タウポ
12月9日(火)晴れ
午前7時。
起きると もう仕事の人が3人来ている。
勝手に入っているため不安を感じ、怒られるかと思ったが、これも 直ぐに打ち消された。
反対に笑いながら話し掛けられた上に、「トイレはここ、洗面所はここ。使えばいいよ」と親切にされてしまった。
外に出ると「日本人?」と聞かれ「はい」と答える。
「どこから どこまで行くの?」と聞かれたので「レインガ岬からスチュワート島まで」と答えると、ビックリした様な顔をして他の二人を呼んで説明している。
そして、話を聞いた二人も同様にビックリしていた。
「Please water in my bottle」と言うと「All right」と言って台所に案内してくれる。
水を補給した後、三人に「Good traveling」、「Good touring」と見送られて出発。
先ず、ファカレワレワ(Whakarewarewa)にあるマオリ族のモデル村と地熱地帯を見学。
ここは、日本の別府や雲仙の地獄を途轍もなく大きくした感じで、また一つ一つをとって見ても問題にならないのではないかと思われる。
それに、日本の様な柵も無く、自然そのままの中に遊歩道が引いてあるので、歩いていても気持ちが良い。
そこらじゅうで蒸気が噴き上げ、マッドプール(Mud pool)はプクップクッと沼一杯に広がり、幾つかある間欠泉は適当な時間を持って噴き上げる。
ワイコロヒヒ間欠泉(Waikorohihi geyser)、パパクラ間欠泉(Papakura geyser)が急に噴き上げる中、初めて見る間欠泉に驚きながら歩いていると、不意に眼前でポフツ間欠泉(Pohutu geyser)が噴き上げた。
ポフツ間欠泉は、場所が場所だっただけに その物凄い迫力には圧倒されるばかりだった。
ちなみに、入場料1$50¢、地図10¢。入場券売り場のオバさんが良い人で、自転車も売場の横に置かせてくれた。
1時間くらい見学して愛車の所へ戻り、カメラとフィルムをバッグに詰め込んでいると、10人の日本人団体客が俺を見てビックリしていた。
「自転車も日本から持って来たのか」と聞かれたので「そうです」と答えたら尚更だった。
モデル村の大アーチを撮ってロトルアを後に、国道30号線をタウポに向かう。
アティアムリ(Atiamuri)からは再び国道1号線となり、黙々と走っていると、橋の下には水ならぬ太い銀色に輝くパイプが一直線に並んでおり、その先には工場を思わせる様な、有名なワイラケイ(Wairakei)の地熱発電所が蒸気を噴き上げている。
展示館が有ったので見ようと思い、行ったはいいが時間外で閉館だった。
20分くらい休んで、また森の中の一本道を進む。
森を抜け、少し行くと急に開け、タウポ湖(Lake Taupo)を真ん中に、右にはハウフンガロア山脈(Hauhungaroa Range)、左にはタウポ(Taupo)市街、湖を跨いだ正面にはトンガリロ国立公園(Tongariro National Park)の中心をなすトンガリロ山(Mt Tongariro)、ヌアウルホエ山(Mt Ngauruhoe)、そして雪をいただくルアペフ山(Mt Ruapehu)を眺める、素晴らしい風景が広がり、すぐそこには これから下る1号線が湖に向かって延びている。
しばしの間、この風景に見とれ、カメラに収めて一気に下るとタウポ湖畔だ。
タウポに入り、先ず食料を買い込み、テークアウェイでハンバーガーとアイスクリームを食べる。
どらも美味い上にボリュームたっぷりで、安い!
マスターも感じが良く、日焼けを非常に心配してくれる。
店を出て湖畔でボケーッとする。目の前には、静かな水を湛えて広がるタウポ湖が、落ちようとする陽に映えて美しい。
日も傾き、俺も寝る場所を探して走り出す。
ここも観光地だが、ロトルアと同様に派手ではない。
ロトルアに比べるとホテルやモーテルも目につくが、人の往来は殆ど無い。
野宿やキャンプをする適当な場所が無いため、走っていて考えに考え抜いて決まったのが今いるタウポ空港だった。
格納庫の隅での野宿だが、空には満天の星の中サザンクロスも美しく輝いている。
※「『日本人?』と聞かれ」については、サイドバッグに付けられた国旗を見ているた
め、特定出来たものと思われる。
※「ボリュームたっぷりで安い」の「安い」について。
当時のレートはUS$が約302円に対しNZ$は約320円だった。
このため、彼は走り始めて間もなくNZ$1ドルを100円と当時の日本の感覚に合わ
せて計算しており、この時食べたハンバーガーは1$50¢で、彼は150円と計算
しているが本来のレートならば約480円になる。