[25]リッチモンド ⇒ ベルグローブ ⇒ コハツ ⇒ コーレレ ⇒ ロングフォード
12月21日(日) 晴れ(風強し)
起きると物凄い風。
出るのを渋っていると、10時半になってしまった。
しかし、相も変わらず風はおさまらず10時45分でも吹いている。
余り気乗りはしなかったが、出て行くと今度はベルグローブ(Belgrove)を少し過ぎた所で、予想だにしなかった とんでもない坂があり、加えて向かい風。
自転車を押して歩くのだが、行けども行けどもつかない……。
頂上に着いた時には、「やっと着いた」と思ったくらいだ。
頂上には峠の名前を示す標識は無かったが見晴らし台があり、そこには見える範囲の地名が彫られた銅板(だと思うが)が設置されてあり、俺も眺望を楽しむ。
下方には、まだ坂にかかる前の道路、その向こうにはネルソンの街とタスマン湾(Tasman Bay)が薄く霞んで見え、これらを包むようにして森が広がっている。
ここから一気に下るとコハツ(Kohatu)で、モツエカ川(Motueka River)の清流に架かるコハツ橋(Kohatu Bridge)から、遠方には白い帽子を被った山々も見える。
コーレレ(Korere)で食料を買うと、店の主人が話し掛けてきた。
「どこから」
「ニッポンから」と言うとビックリした面持ちで
「今日はどこまで」
「マーチソン(Murchison)ぐらいまで」と答えると、俺にはそれほど良くは分からなかったが、いろいろと道路情報を教えてくれ、地図を描いて
「ここからホープ峠(Hope Saddle)までは、距離は短いが坂はきつい。そして、峠からマーチソンまでは距離はあるが、ずーっと緩い下りになっているから楽だ」と教えてくれる。そして「気を付けて行きなさいよ」と言われ、
「Thank you」と言って店を出、峠に向かう。
ホープ峠は標高634mと結構高く、相当にきつい坂を予想したためか それ程でもなく、上り坂よりも吹きつける風の方がきつかったくらいだ。
ホープ峠の正面にはネルソン湖国立公園(Nelson Lakes National Park)の山々が聳え立っている。
下ると、グレンホープ(Glenhope)からはホープ川(Hope River)が並行して流れ、カワティリ(Kawatiri)からはブラー川(Buller River)となり、ゴーワンブリッジ(Gowanbridge)を抜けて現在地まで、牧歌な風景と相俟って道路と並行して川が流れる俺の好きなコースが続く。
今日は向かい風でなかったらそれ程きつい道ではないと思う。
また、地図に名前は有れど実際には家も何もないという、有名無実の所が多かった。
現在いる所はロングフォード(Longford)と思われ、川の横にあるレストエリアでテントを張る。
現在 午後10時15分。
※「頂上に着いた時には……」について、彼は後日に この頂上の名前を確認していたと
ころ、「地図には『スプーナーズ峠(Spooners Saddle)』とあった」と輪行袋の中に居
た私に教えてくれた。
この事から、ブログの写真は「スプーナーズ峠」としてあるとの事。