ニュージーランド縦断サイクリング1975.12-'76.1

「行った、銀輪走(走った)、見た、知った」……そして残った/サイクリングで駆け巡った彼との45年間

[25]リッチモンドベルグローブ ⇒ コハツ ⇒ コーレレ ⇒ ロングフォード

 

12月21日(日) 晴れ(風強し)

起きると物凄い風。

出るのを渋っていると、10時半になってしまった。

しかし、相も変わらず風はおさまらず10時45分でも吹いている。

 

余り気乗りはしなかったが、出て行くと今度はベルグローブ(Belgrove)を少し過ぎた所で、予想だにしなかった とんでもない坂があり、加えて向かい風。

自転車を押して歩くのだが、行けども行けどもつかない……。

 

頂上に着いた時には、「やっと着いた」と思ったくらいだ。

 

頂上には峠の名前を示す標識は無かったが見晴らし台があり、そこには見える範囲の地名が彫られた銅板(だと思うが)が設置されてあり、俺も眺望を楽しむ。

下方には、まだ坂にかかる前の道路、その向こうにはネルソンの街とタスマン湾(Tasman Bay)が薄く霞んで見え、これらを包むようにして森が広がっている。

スプーナーズ峠から見るネルソン方面(1975.12.21)

ここから一気に下るとコハツ(Kohatu)で、モツエカ川(Motueka River)の清流に架かるコハツ橋(Kohatu Bridge)から、遠方には白い帽子を被った山々も見える。

コハツ。モツエカ川に架かるコハツ橋から見る下流方向(1975.12.21)

コーレレ(Korere)で食料を買うと、店の主人が話し掛けてきた。

「どこから」

「ニッポンから」と言うとビックリした面持ちで

「今日はどこまで」

「マーチソン(Murchison)ぐらいまで」と答えると、俺にはそれほど良くは分からなかったが、いろいろと道路情報を教えてくれ、地図を描いて

「ここからホープ峠(Hope Saddle)までは、距離は短いが坂はきつい。そして、峠からマーチソンまでは距離はあるが、ずーっと緩い下りになっているから楽だ」と教えてくれる。そして「気を付けて行きなさいよ」と言われ、

「Thank you」と言って店を出、峠に向かう。

コーレレ(1975.12.21)

ホープ峠は標高634mと結構高く、相当にきつい坂を予想したためか それ程でもなく、上り坂よりも吹きつける風の方がきつかったくらいだ。

ホープ峠の正面にはネルソン湖国立公園(Nelson Lakes National Park)の山々が聳え立っている。

ホープ峠(1975.12.21)

下ると、グレンホープ(Glenhope)からはホープ川(Hope River)が並行して流れ、カワティリ(Kawatiri)からはブラー川(Buller River)となり、ゴーワンブリッジ(Gowanbridge)を抜けて現在地まで、牧歌な風景と相俟って道路と並行して川が流れる俺の好きなコースが続く。

ゴーワンブリッジあたり(1975.12.21)

ゴーワンブリッジあたり(1975.12.21)

今日は向かい風でなかったらそれ程きつい道ではないと思う。

また、地図に名前は有れど実際には家も何もないという、有名無実の所が多かった。

 

現在いる所はロングフォード(Longford)と思われ、川の横にあるレストエリアでテントを張る。

現在 午後10時15分。

※「頂上に着いた時には……」について、彼は後日に この頂上の名前を確認していたと

 ころ、「地図には『スプーナーズ峠(Spooners Saddle)』とあった」と輪行袋の中に居

 た私に教えてくれた。

 この事から、ブログの写真は「スプーナーズ峠」としてあるとの事。