[30]ハリハリ ⇒ フランツ・ジョセフ ⇒ フランツ・ジョセフ氷河 ⇒ フォックス・グレイシャー ⇒ フォックス氷河
③フランツ・ジョセフ氷河~フォックス・グレイシャー~フォックス氷河
12月26日(金) 晴れ
フランツ・ジョセフ氷河を後に、来た時と同じ道を通って国道6号線に戻り、フォックス・グレイシャーに向かう。
ハリハリからフランツ・ジョセフまでの意外と平坦な道とは打って変わって、上り下りが3回もあり結構ハードだった。
午後8時ちょっと過ぎに、フォックス・グレイシャーの町に着く。
ここでフィルムと絵葉書4枚だけ買ってフォックス氷河(Fox Glacier)に向かう。
フイルムと絵葉書で35$56¢支払うが、フィルムは実に高い。
フォックス氷河に向かう道も未舗装で、水が横切っている所などスピードを出して突っ込まないと途中で止まってしまい、ズブ濡れになりかねない所も少なくない。
もちろんペダルを漕ぐ事は出来ず、足を前に上げて運にまかせる・
ここはフランツ・ジョセフ氷河の時とは反対に、右手が開け左手が山になっている。
午後9時近くと言う事もあってか、町に帰る車は3~4台見たが、俺を追い抜いていく車は1台も無い。
ここニュージーランドは、南に南下すれば南下するほど日の暮れるのも遅くなり、午後9時と言っても まだまだ明るい。
また、非常に面白く不思議に思ったのは、両氷河への道は いずれも両サイドはこんもりと亜熱帯性の植物が繁っていた事だ。
早くフォックス氷河を見たい、少しでも近い所から見たいと言う気持ちもあってか、自転車を引っ張って行ったのは良いが……。
石ころだらけで進むのも容易でなく、もう遅い事もあって遠い所から眺めるだけにし、寝る所について簡単にして考えた末に出たのが「ここでキャンプを張る」事であり、現在テントの中でこれを書いている。
テントから顔を出して見ると、空には満天の星が輝き、前にはフォックス氷河が横たわっている。
テントを開ければ、何時でもフォックス氷河が見える。
そして、物音一つしない静寂の中、澄んだ空気は冷たく、その中に居る人間は俺一人のみ!!
今日のキャンプは、俺のサイクリングにおけるキャンプの中で最高のキャンプだ!!!
しかし、寒い!!!
妹、叔母さん、友人のY、部活のS先輩 宛に先ほど買った絵葉書を書く。
※「来た時と同じ道を通って……」について、当時はこの道しかありませんでした。
※「簡単にして考えた末に出たのが『ここでキャンプを張る』事であり」については、
適当な野宿する場所は当然の如く無く、彼は「町まで戻ろうか否か」で迷ったがキャ
ンプを張る事にした。
なお、彼は出発前にニュージーランド政府観光局で質問した際の返答もあり、キャン
プを張る事について全く迷いは無かった。
しかし、彼も私も「半世紀近く過ぎた現在においては、考えられない事」だろうと思
っている。